映画『ライ麦畑の反逆児』を観てきました。
すごく、すごくよかった!
特に、コロンビア大学教授ウィットを演じるケビン・スペーシーがすばらしかった。
まだ大学生だったサリンジャーを指導し、何度出版社から「不採用」を受け取っても書き続けろと言い続けた、ウィット教授。
「お前はなぜ作家になりたいのだ」という問いに、即座に返せないサリンジャー。
ウィット教授は言い続ける。
「書き続けろ」
「もっと掘り下げろ! deeper,deeper!」
サリンジャーは自問する。
「なぜ自分は作家になるのか」
「なぜ書き続けるのか」と。
最終的にウィット教授が採用したのは一番最初に書いた作品だった。
最初の作品が合格点だったのに、なぜウィット教授は何作も書かせたのか。
それは作家としてやっていく肚を括らせるためだった。
やがて戦争に入り、サリンジャーは精神を病み、作家としては大成功するも、世間とは距離を置くようになる。
そして91歳で亡くなるまで、ニューハンプシャーの森の中で隠とん生活を送る。
この間にウィット教授ともケンカ別れしてしまうのだが、時が経って再会するシーンがある。
この二人の会話が昔に戻った時の様でもあり、もう元通りにはならないのだと言っているようでもあり、
とても切ないシーンだった。
ただの一学生だったサリンジャーとウィット教授が、一緒に大いなる目的に向かって突き進んでいた時。
この時こそが宝石のようにキラキラして、かけがえのない時間だったのだ。
ラストシーン。
森の中でカタカタと響くタイプの音に、そう思うのでした。
サリンジャーの作品は、難しくて理解できないものも多いのですが、「フラニーとゾーイ」、「エズミに捧ぐ(ナイン・ストーリーズ)」だけは、大好きです。
いつも近くに置いておきたい本です。
なんでこんなにこの人は子どもの描写が上手いのか。
どの子も愛らしくて生き生きとしている。
また読み返したくなりました。
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。