『内なる町から来た話』

今年も3月11日がやってきました。
いつもは考えなくても、この日が来るとあちらの世界に想いを馳せる方、多いのではないでしょうか。

この『内なる町から来た話』も、この世界だけがすべてではないと感じさせる、不思議な話です。
人間は自分たちが主人公だと思っているけれど、もしかするとそうではないかもしれません。

この世界と並行して存在する、パラレルワールド
そこでは、犬が主人公かもしれないし、馬かもしれないし、シャチかもしれない。
そこでの人間は一体どんな存在になっているのだろう。
もしかしたら、何の意味も無いのかもしれない。

そのことを、他の生き物たちは時々こうして人間に告げていくのです。
彼らが静かだからといって、決して聞き漏らしてはいけません。

巻頭の、作家アリス・ウォーカーの言葉が胸を刺します。
「この世の動物たちは、誰かのために存在しているのではない。」

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『内なる町から来た話』
ショーン・タン/岸本佐知子訳 河出書房新社

それでも、犬は私たちの伴走者でいてくれたし、猫は水先案内人でもありました。
長い長い年月の間友人でいてくれた彼らに、今改めて心よりの感謝を。


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